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三角関数がまったく役に立たない世界

政治家橋本がAbebaTVの番組で「サイン・コサイン・タンジェント、どこで使うの?使ったためしがない。」と発言した。

それもそのはず、三角関数は理論数学の中でしか現れない概念で、物理・工学・化学といった実用分野での使用例は皆無なのである。三角関数などという空想じみた理論を議論するのは、国内でも2,3名ほどしかいない専門の大学教員と、彼ら(彼女ら)が指導する学生の一部くらいだった。

” サイン・コサイン・タンジェント”発言をした橋本は数学専攻で博士課程を修了した(専攻は幾何学だった)。その後、訳あって政治家の道へと進んだのである。

もちろん世間的には「三角関数」という概念は浸透していないため、彼の発言はほとんど無意味なものとして忘れ去られた。その発言のインパクトといえば「急に数学の発言をしたけれど、国立大の財政政策になんか関係あんの?」とSNSで呟かれたくらいだった。 国立大学の統廃合を巡って、やれ交付金を減らせだの、補助金を減らせだのと叫ばれていたのである。

――その世界で三角関数は役に立たない。

回転するものはない

その世界で回転するものはない。「エンジン」なる発明品も存在しなければ、「車輪」の発明もない。その世界の物理法則ではあり得ないからだ。したがって「四つの車輪をもち、発動機の動力で、レールなしに走る物体」は無いし、それを移動のために必要とすることもない。物体と物体の距離(もし「距離」という概念があれば、という意味だが)は、常に変動するからだ。そこに住む「人々」は距離あるいは移動といった考えを持たずに交流する。ただし、我々のような「音」を介したコミュニケーションは取らない。取ることができない。

音は存在しない

「音」すなわち物体を通して縦波として伝わる力学的エネルギーの変動はその世界には存在しない。その世界の「人々」は、その世界独自の物理法則を応用したナントカという方法でコミュニケーションを取る。我々が、我々の世界における物理法則を使い、「音声」でコミュニケーションを取ることと全く同じことである。我々はそのナントカを受容する為の器官を持っていないから、感知することはできない。ちょうど人間が赤外線や紫外線を認識できず、一部の動物ないしは虫がそれを認識できるのと様子は似ている。

またその世界の文字言語は我々の世界のものとは形態が大きく異なる。その世界の「人々」は物体に開けた穴を以て言語を書き記すための記号としている。その見た目は我々の世界でいう「点字」のようなものである。我々の点字と異なり、一つの物体にいくつ穴が空いているか?という情報だけが意味を持つ。穴の位置関係はその記号体系においての意味を失っているのだ。

という夢を見たんだ

目が覚めて、この世界に三角形があり、回転があり、振動があることに安心する。 外からは自動車のエンジン音が聞こえるし、時計の針は一定のスピードで動き続けている。 距離や角度が僕の存在を保証するし、この世界での「僕」と「僕以外」の間にある関係性とは、点と点の距離以外の何者でもない。

そんなことを妄想しながら僕はsin xを微分してcos xにした。